「証拠不十分」借金、返済されず
Q 友人に200万円を貸しました。信用して書類は何ももらっていません。友人が返済しないので裁判を起こしたところ、「借りていない」と主張し、裁判官からは証拠不十分と言われました。真実が通らないことがあるのですか。
A 判決を下す裁判官は、あなたと友人のどちらが真実を言っているのか分かりません。そこで、友人に貸したのが真実であると裁判官が確信を抱くように努力しなければなりません。この努力を「証明」といいます。努力の柱が「証拠」の提出です。日本では、証拠は当事者(原告や被告)が提出することになっています。裁判所から進んで探したりしません。これを「弁論主義」といいます。
今回のような「貸金返還請求訴訟」では普通、原告側から金銭借用証書や領収書が証拠として提出されます。これらの書類に被告の署名押印があれば、友人が借りていないと主張してもよほどの事情がない限り、金銭消費貸借の事実は認定されます。
本件のように書類がない場合は、よほど頑張って証明活動をしない限り、金銭消費貸借の事実は認定されません。考えられる証明活動は、(1)あなたと友人が親密であったか(2)あなたが現金をどう調達したか(通帳から引き出していれば通帳も証拠となります)(3)当時、友人がお金を必要としていた事情があるか(4)金銭授受の現場に第三者がいたか。その第三者には信用性があるか(5)友人に関する情報を証言してくれる第三者がいるか―などについて、書類の提出やあなたの供述、第三者の証言などで訴えが真実だと裁判官に分かってもらう努力をすることです。証拠がなければ真実も通りません。逆に偽造や虚偽の証拠があれば、その証拠が偽造と暴けない限り真実とは異なる判断がなされることもあります。
証明活動で真実訴えて
平成30年5月24日 大分合同新聞朝刊掲載
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