認知症の親の財産管理
Q 私の父は、高齢で認知症が進み、判断能力がほとんどありません。高齢者を狙った犯罪もあり、財産管理にも不安があります。父を保護するために、何か良い方法はありませんか。
A 成年後見制度を利用してはいかがでしょうか。判断能力の不十分な人を保護し、支援する制度で、民法の定める法定後見制度と、任意後見法の定める任意後見制度があります。
▽法定後見制度
民法は、本人の判断能力の減退の度合いに応じて、後見、保佐、補助―の3類型の制度を定めています。これらは、家庭裁判所が申し立てに対し、開始の審判を出し、それぞれ後見人、保佐人、補助人を選任するものです。本人の判断能力の状態に応じて、後見人、保佐人、補助人の権限(財産管理への干渉の度合い)が異なります。▽任意後見制度
自分の判断能力が将来不十分になったときに備えて、前もって代理人(任意後見人)に財産管理や身上監護の事務について代理権を与える制度です。この制度を利用するには、公証人の作成する公正証書で任意後見契約を締結する必要があります。家庭裁判所で、任意後見人を監督する任意後見監督人が選任されて初めて効力を有することになります。
▽利用する制度の選択
任意後見制度は、後見契約の締結時に、本人が契約を締結できる判断能力を有していることが必要です。父親に判断能力がほとんどないのであれば、利用は難しいでしょう。法定後見制度は、父親の判断能力の状態に応じて、どの制度が良いかを判断することになります。主治医とよく相談して状況を客観的に把握するとともに、父親の意向も聞いて、決めるとよいと思います。
成年後見制度で保護を
平成30年8月2日 大分合同新聞朝刊掲載
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