子育て、みんなで支えて
女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率。2018年は1・42で、3年連続の減少となった。出生数も統計開始以来、最少となる91万8397人となり、こちらも3年連続で100万人を割り込んだ。 少子化の背景には、晩婚化や共働き世帯の増加、若い世代が経済的に余裕がないなど、さまざまな要因がある。子育てがしやすい環境を整えることで、多少なりとも抑制できると思うが、それには地域や職場など社会全体で支える仕組みが必要だ。 4月に中津市蛎瀬にオープンした「なかつ病児保育室セカンド・マム」は、子どもを病気発症時から回復期まで、預けることができる市内初の施設。共働きやひとり親家庭にとって大変心強い存在だ。また、第一交通産業グループは6月から大分市で、共働きなどで忙しい保護者に代わって子どもを学習塾やスポーツクラブに送り届けるサービス「子どもサポートタクシー」を始めている。通常のタクシー料金で利用でき、送迎が完了すると保護者に連絡が入る。公共交通機関として子育て支援に協力し、地域に貢献するのが目的という。 いずれも本紙(4月16日付朝刊、5月28日付朝刊)で紹介されていた。県内でも子育てを支援する魅力的な取り組みが広がっているのはうれしいことだ。こうした記事は「子育てを社会全体の問題として捉えるべきだ」というメッセージにもなる。 ところで、6月26日付朝刊に気になる記事が出ていた。男性の育児休業の義務化について、男女ともに75%が賛成しているが、実際の取得については男性の39%が難しいと考えていると民間企業の調査で分かったというのだ。子育ては男女が平等に行うものだが、実際には、男性の育児参加は進んでいない。男性の育児参加促進の機運を高める必要があり、その中で本紙に期待するものは大きい。 現状や課題を伝えることも重要だ。育休を率先して取得している男性の育児生活をリポートしたり、男性の育児参加を後押ししている企業の取り組みを紹介する記事も見てみたい。 子どもは社会の宝。子育てはとても楽しいし、子育てを通して大人が学ぶことも多い。本紙には、こうした子育ての魅力を今後もどんどん伝えてほしい。
令和元年9月8日 大分合同新聞朝刊掲載
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