女性議員活躍へ環境整備を
今年5月、国会と地方議会選挙で候補者の男女比をできる限り均等にするよう政党に求める「政治分野の男女共同参画推進法」が成立した。本紙は7月1日付「ニュース早分かり」で、日本の女性議員は国際的に見て大変少ないことを指摘した。国際機関が発表した女性国会議員の割合(2017年・一院制または下院)の比較では、日本は10・1%で193カ国中158位。また、地方議会の女性議員の比率(16年12月時点)は12・6%で、女性ゼロの町村議会は3割を超すことを伝えた。 人口の半分は女性であるにもかかわらず、議員が男性に偏っている現実に驚いた方は多いだろう。6月3日付「核心評論」でも指摘していたように、政治に男女双方の視点が反映されなければ政策に偏りを生じ、介護や育児など女性が負担することの多い分野に“ひずみ”が生じてしまう。 近年は、人口の少ない自治体を中心に、地方議員のなり手不足も深刻化している。地方自治の根幹を担う議会の活性化には、若者や女性を含む幅広い層からの政治参加が重要だ。そのためには「政治は男性のもの」という意識を変え、女性や若者が立候補しやすく、当選後も議員として仕事を続けられるような環境整備が欠かせない。例えば、ひとり親の女性が議員として活躍できる仕組みも必要だ。9月16日付朝刊は、共同通信の全国議長アンケートで、女性議員を増やす取り組みとして、育休や介護休の規定充実が有効とする声が相次いだと報じた。育児や高齢者の世話に携わる人が議員になれば、子育て・介護問題で、より充実した政策が期待できる。 以前、記者コラム「議会傍聴席から―記者の目」に、国東市議会の女性議員は1人、姫島村議会はゼロ―とあったが、全県的な状況には触れていなかった。来春は統一地方選が実施される。本紙に、県内19の県・市町村議会の女性・若手議員についての状況を統計も添え、詳細に報道していただきたい。また、有権者がどのような地方政治家の誕生を望んでいるのか、アンケートによって浮き彫りにしてはいかがだろう。有権者のニーズが分かり、県民の政治に対する関心を高める一助にもなるのではないか。幅広い層からの政治参加が進み、誰もが生活しやすい社会が実現することを切に願っている。
平成30年10月28日 大分合同新聞朝刊掲載
0コメント